入社後、品質保証を3年間務めた後、2016年に新設されたばかりの営業本部管理課に異動しました。管理課は、在庫や売上、粗利益といった営業数値をとりまとめて目標管理するほか、お客さまや協力会社との折衝窓口になり、これらの取引先から要望を受けて、営業や製造との調整業務を担当する部署です。異動のきっかけは、社外の人たちと触れあう仕事をしたいと思い立ち、上司に相談したことです。出身は理学部ですが、就職活動時はメーカーだけでなく、サービス業に挑戦してみたいという想いも抱いていましたから、もともと営業志向が強いのでしょう。
そんな自分の力を「異なるフィールドで試してみたい」と上司に相談したタイミングが、管理課の立ち上げ計画と重なったことは幸運だったと当時は考えていました。ですが今、振り返ってみると、上司との距離が近く、相談しやすかったからこそ拓けた道なのだと思います。
異動によって、仕事の内容はガラリと変わりました。特に、さまざまな人との交渉が重要な業務になったことは、大きなプレッシャーとなって私にのしかかりました。品質保証課時代は、他社と交渉したことなんて、まったくありませんでしたから。
上司や先輩に訊けば、基本的なことからアドバイスしてもらえたと思います。しかし、営業本部は若手が多く、一から指導を仰ぐことは上司や先輩の時間をいたずらに奪うことになりかねない。そう考えて試みたのが、上司や先輩の電話に聞き耳を立てること。ベテランのコミュニケーション術を“盗もう”と考えたわけです。その目論見は見事に当たり、「こうすればうまく伝わる」というコツを自分なりに発見して、不用意な失敗はなくなりました。自ら課題を見つけ出し、一つひとつ解決していくことを、いつの間にか楽しんでいたような気がします。
繁忙期以外は残業も少なく、入社してからずっと住んでいる寮はクルマで5分の近さなので、プライベートの時間も十分に持つことができています。仕事に前向きになれるのは、プライベートが充実しているからかもしれませんね。